となりのアンジュ
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2019年4月1日
2019年04月01日(月)

幼稚園の健診についてのお知らせ:
これまで幼稚園児を対象とした耳鼻科健診が義務化されたことに伴い、市内4幼稚園の健康診断を行って参りました。父兄の皆様の中には、その折にお子さんの耳あるいは鼻の不調を指摘され、医療機関にかかられた経験をお持ちの方もいらっしゃるかと思われます。日頃、接する時間が多い親御さんや祖父母の方々はもちろん、保育士さんが不調を発見されることも少なくなく、周りの大人が協力してお子さんの健康状態、気持ちの状態、そして心身の発育の状態を見守り、病気の早期発見や対処に当たっていくことに大きな意義を感じて携わってきたつもりでした。
昨今、幼児保育の拡充と充実が図られる中、保育園だけでは希望されるお子さんを受け入れ困難な実情もあり、幼稚園が「こども園」という形でこれまでの3歳保育から未満児の受け入れに舵を切り始めています。その対応に力を入れられる姿勢は大いに評価したいところですが、いつの間にかその対応に経営努力の多くが割かれ、幼稚園からこども園に変わると法的な健診の義務が免除される、つまり健診料などの出費が不要になるという経営効率重視の姿勢で看板の架け替えを行うという姿勢が鮮明になりつつあるように感じます。本当にそこに耳鼻科医は「不要」なのでしょうか。
耳鼻科領域では保育園で既に大きな問題になった、幼少児の耐性菌による難治性中耳炎の問題などが存在するにも関わらず、比較的抵抗力があり健康保菌者となり得る年長児から抵抗力の極めて弱い乳幼児までが限られた空間で保育されることにより生じうる危険や病児保育の問題が改めて議論されることもなく無責任にもなおざりにされ、単に経営の負担を軽くする一点でまたまた子供たちが犠牲になろうとしているのですが、誰一人声を上げません。本当に日本という国は子どもを大切にしていない大人中心の国になろうとしていると感じています。これでは少子高齢化問題の解決に何の助けにもならないだけでなく、子ども達を安心して預けて社会参画するための場所が実は全く増えていないことを意味します。法的な義務がないから、経済的な負担から解放されるから、協力者は不要なのでしょうか??誰も助けてくれるものがいない国は呪っていれば問題は解決するのですか?
長文になり申し訳ありませんが、今一度、子供たちの安全・安心・健康のために私たちがすべきこと、心がけるべきことについてしっかりと考えていただきたいと思い、ここに意見を述べました。健診がすべてを解決するわけではもちろんありません。普段からの顔の見える、考え方の理解しあえる関係があって初めて、子供たちのために協力し合える関係も生まれます。在宅医療・地域医療と言われる分野と同じです。同じコミュニティ(共同体)の中で生活するものとして、それぞれがある時は中心となって、ある時は良きパートナーとなってお互いが住み良い環境を作っていくことが求められており、その不断の努力こそが現在抱えている様々な課題を克服できる力になると信じています。

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